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音響とは?(プロエンジニア向け)

✅ 定義

音響とは、音に関する物理現象・知覚・空間制御・伝送技術・創造表現の総合領域である。

つまり単に「音を出す・拾う」だけでなく、空間・技術・芸術性を含む統合技術分野です。


🔍 スキルアップのための音響理解:5つの軸

領域 内容 スキル例
① 音響物理 音波、反射、吸収、共鳴、定在波など、空間内での音の挙動理解 定在波の制御、音場解析、ハウリング抑制
② 音響心理(知覚) ヒトがどう音を感じるか。音質、定位、臨場感など 音像定位設計、BGMの心理効果、EQバランス
③ 電気音響技術 マイク、アンプ、ミキサー、DSP、スピーカーなど信号処理と伝送 システム設計、インピーダンス整合、ゲインストラクチャー
④ 空間音響設計 会場ごとの音響特性に合わせたシステム配置、吸音材、反響処理など ラインアレイ設計、屋内外音響補正、サブウーファー配置
⑤ 音響演出・美学 アーティストの意図を反映し、音の質感・空気感・ダイナミクスを調整 ミックスバランス、リバーブ設計、演出意図の翻訳力

🎧 現場で求められる実践的スキル(例)

  • ミキシング・オペレーション(ライブ、劇場、放送、収録)

  • システムチューニング・Smaart測定

  • ワイヤレスマイク運用(周波数管理・アンテナ設計)

  • ラインアレイの展開と音場シミュレーション(L-Acoustics Soundvision, d&b ArrayCalc など)

  • ノイズ・ハウリング対策とゲイン管理

  • リハーサル〜本番での的確なコミュニケーション力(演者・ディレクター・他スタッフとの橋渡し)


🧠 スキルアップのための視点

スキル視点 具体的アプローチ
理論の深化 音響測定(RT60、STI)、ルームアコースティックの再学習
技術の更新 Dante/AES67などのIPオーディオ技術、DSPプログラミング
現場改善力 ケーブルマネジメント、トラブル対応力、運用フロー設計
美的判断力 音質評価の耳(critical listening)、ジャンル理解、空気感の表現力
連携力 映像・照明・舞台チームとの共通言語・システム連携の理解

🔚 まとめ

プロの音響とは、「音を通じて空間を設計し、人の感情や体験に影響を与える仕事」である。

そのためには、物理・技術・芸術のすべてを横断し、チームと協働しながら正確かつ感性豊かに音を扱うスキルが求められます。

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