音響システム構成とスタッフ役割説明
1.音響システムの機材構成
メインシステム
- メインスピーカー:会場全体に音を届けるための主要スピーカー。小中規模のイベント時には、ホーンとウーハーで構成される2WAYフルレンジスピーカーがメインスピーカーに選ばれることが多い。このタイプのスピーカーはたくさんのメーカーが発売している。小型のコンパクトなラインアレイスピーカーが使われることもある。観客にはメインスピーカーから出た音が主に届く。調整はフロントエンジニア(FOHエンジニア)の仕事
- サブウーファー:低音域を補強するスピーカー。これにより重低音が良く聞こえるようになり音楽の迫力が増す。
- モニタースピーカー:演者が自分の声や楽器の音を確認するためのスピーカー。
- モニタースピーカーの調整次第で、イベントが成功するかしないかが決まると言っても過言ではない。
- モニタースピーカの設営と音量、音質調整に特に気を配る必要がある
- 演者の要望に応えられるようなミックスと調整を行うことがカギ
- ステージ上のマイクとモニタースピーカーとの距離が近くなりがちなのでハウリングを起こしやすく、モニターエンジニアは、かなりの神経を使って微調整することが必要
音声入力機材
- ミキサー(コンソール):各入力音を調整・ミックスする中心機材
- イコライザー:周波数帯域を調整し音質を整える
- コンプレッサー/リミッター:音量の大きい音を機械的に圧縮して整え音量のバランスを制御
- エフェクター:リバーブやディレイなどの効果を付加
- 補足:最近主流になってきているデジタル・ミキシングコンソールには、イコライザーやコンプレッサー/リミッター、リバーブ(空間の残響のことで、人工的に響きを加える装置のことをリバーブマシン、残響付加装置とも言う)やディレイ(音や映像の電気信号を遅らせる装置。遅延装置とも言う)などのエフェクターが内蔵されているため、アナログ・ミキシングコンソールを使用するときのようなアウトボード(エフェクター)が使われることは、ほとんど無くなってきつつある。
信号伝送・電源
2.音響スタッフの役割
音響監督(サウンドディレクター)
- 全体の音響プランを設計
- 機材構成や配置の決定
- スタッフの役割分担と進行管理
フロントエンジニア(FOHエンジニア)
- 客席側の音を調整
- ミキサーを操作し、全体のバランスを管理
- 会場の特性に合わせた音作りを実施
モニターエンジニア
- 演者用モニターの音を調整
- 各演者の希望に応じたモニターミックスを作成
- インイヤーモニターやステージモニターの管理
システムエンジニア
- 機材の設置・配線・動作確認
- 音響システム全体の安定稼働を監視
- トラブルシューティング対応
アシスタント/ステージスタッフ
- マイクやケーブルの設置・交換
- 機材の搬入・搬出
- 演者の入れ替え時のサポート
3.運用フロー(例)
1.事前準備:機材リスト作成、会場図面確認、音響プラン
2.仕込み:機材搬入、設置、配線、動作確認
3.リハーサル:音量・音質調整、モニターバランス確認
4.本番:演奏や進行に合わせたリアルタイム調整
4.補足情報
- 会場規模やイベント内容により機材構成やスタッフ人数は変動
- 小規模イベントでは1人が複数役割を兼任する場合もある
- 大規模イベントでは専門分化が進み、より多くのスタッフが関与
関連情報